私立医学部の中では難関とされる大学の1つである。2017から後期試験を導入し、2019は後期センター国語併用入試、2020はAO入試導入と入試改革を続けている。
国公立医学部との併願者も多く、繰り上げ人数は公表されていないが、補欠者には順位が付いており、かなり多くの繰り上げ合格が回ると言われている。
合格者に占める3浪以上の割合が高いことから、特に多浪生や再受験生の間で人気が高い。英語300点、数学300点、理科2科目400点という英語・数学に傾斜した配点である。
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◎=大問/○=小問
時間90分は変わらずで、大問は’18で4→5題に微増したが、今回再び4題に。長文が3→2題に減り、発音・アクセント(4問)、短文完成(6問)から成る大問が1つ、そしてテーマ型英作文という構成。長文の問題も含め、’18とはやや異なった内容になっている。長文のうち1つは内容合致や同意語句選択などオールマークのみで記述は一切なし。もう1つは記述を含んだものも見られるが、’16より出題されている「選んだ選択肢の理由を述べる」ものが3題のみで負担は少ない。英作文は、長文のテーマを受けて、若者が「確証バイアス」に陥らないよう啓発するためにどんなことができるかを述べるもの。長文が1題減り、要約や脱文挿入もなくなり、記述箇所も控え目になったことで総じて取り組みやすくなったと言えそうだ。
従来長文中心の問題で、文法関連の単独問題はほとんどなかったが、’19では数は少ないながらも文法、語彙、イディオム、品詞などを問うものが独特の形で出題されるようになっているので、そのあたりの対策は十分にしておく必要がある。また、’18では記述部分が少なくなってはいるが、内容説明や和訳などの演習は欠かせないだろう。読解力に加え、日本語でまとめる力も必須。英文は医学関連だけでなく、人文・社会科学系のものやエッセイまで幅広く読んでおきたい。テーマ型英作文は、’18同様具体例や理由を添えて書くことを求められている。今回は長文の内容に関するテーマ英作文が出題されたので、長文演習で扱った英文についての自分の意見をまとめる練習は大いに役立つだろう。
’16まで全3題、’17と’18は5題、’19は4題。[1]は結果のみを書く問題、[2]は’18まで結果のみを書かせ、’19は記述、[3]以降は途中の過程も書かせる記述。難易度は年ごとに大きく変化し、’17は例年に比べかなり解きやすく上位国立大レベル問題集によく載っている典型問題の解法をしっかり身につけていれば十分に太刀打ちできる問題、’18は難度が上がり[4]の(2)以降は難関国公立大レベルの問題となっており完答はかなり難しい。’19は易化し誘導に乗って解く上位国立大レベルの問題が中心。微分・積分が最頻出で、極限や空間ベクトル、数列、整数の問題、複素数平面、図形の絡んだ総合的な問題も多い。
年により難易度に差がある。思考力を要求する問題やボリュームのある問題となっていることも多く、全体的には上位国公立~難関国立大レベルの問題となっている。ここ3年だと、’17と’19は上位国公立レベル問題集によく載っている典型問題の解法をしっかりマスターしていれば解ける素直な出題であるが、’18は難しく特に後半は難関国立大レベルで制限時間内に完答できた受験生は少ないだろう。まずは上位国公立大レベルの典型問題はどの単元も一通り固め、難関国公立大レベルの問題集で応用力をつけておこう。年によっては後半にかなり難しい問題がある年もある。完答を狙うよりもまずは易しめの前半で取れるものを確実に取っていこう。
例年、大問4題の出題である。問題量がやや多く、条件が整理しにくい問題も出題される。’19の出題内容は[1]は銅の電解精錬やヨウ素滴定に関する問題。[2]はイオン交換膜を使った電気分解の問題。[3]はケト・エノール互変異性をテーマにした脂肪族の構造推定問題。[4]はアミノ酸の性質やペプチドの合成実験などが出題された。いずれの問題も問題文をしっかり読み取って考察していかないと正答にたどりつかない。さらに、考察するうえでもかなり精度が高い知識がないと正しい考察はできない。問題としてはやや難しい。後期でもアミノ酸の錯イオンや平衡定数などの問題が出題されたが、後期でも前期同様に深い知識と読解、考察力が必要。
標準的な定番問題ではなく、見慣れないテーマを題材にして問題が作られている。最近の入試問題では複数の大学でこうした傾向がみられるが、問題文の内容を正確に読み取り理解し考察ができれば正答にたどり着くことができる。ただそのためにやや深い知識や、内容を正確に整理していく必要がある。まずは化学の基本知識から、もしかしたら受験の範囲をやや逸脱した知識が必要かもしれないが知識を確実に自分のものにしていく。次に、国公立の問題などの問題文が長い融合問題などを使って上記の内容を練習していくことが対策になる。また生命化学の問題もよく出題されているので、生命化学の分野についてはしっかりと学んでおく必要がある。
大問3題となっている。1題は細胞接着に関する内容で、結合の種類と細胞骨格の組み合わせ・ドメインと五界説による分類・細胞接着に関する実験考察が出された。1題は恒常性に関する内容で、空所補充・チロキシンの働き・自己免疫病・日和見感染症・自律神経が出された。1題はゲノムに関する内容で、バクテリアの遺伝子発現に関する考察問題が出された。細胞接着に関する内容は、接着の種類とタンパク質の組み合わせを覚えていれば解けるが、覚えにくい内容なので難しい。バクテリアに関する問題は、文章が長く、データを読んで理解するのも時間が掛かる。ただ、全体的には時間に余裕があるので、丁寧に読めば解けると思う。
語句を正確に覚えておくことは必須条件である。教科書を用いて用語のまとめを行い、問題集の空所補充や語句記入を多くこなして知識の定着を図ろう。次に、図説を用いて各細胞や組織の模式図を覚えるとともに、実験も覚えるようにしよう。特に実験問題は実験そのものを覚えている方が内容を理解しやすく解きやすい。また、考察問題は内容の理解を正確に出来るようにしよう。近年は、定型の実験が少なくなり、初めて見る内容が多くなって来たので、読み取りも正確に行うようにしよう。分野の偏りがないので、不得意分野を作ることは危険である。生物全範囲に目を通し、しっかりと覚えるようにしよう。
大問4題で構成され、力学、電磁気、熱力学、原子から出題されている。力学は斜面上で重ねられた2つの物体のつりあいと加速度運動の問題で、片方滑る場合と両方滑る場合が出題されている。電磁気は鉛直面内にある導体棒に生じる誘導起電力の問題で、単振動も出題されている。熱力学は栓のついた細管でつながれた2つの容器内での気体の状態変化の問題で、気体の混合も出題されている。原子は光電効果の問題で、阻止電圧やプランク定数を求める問題も出題されている。典型的な問題を中心に出題されているが、導体棒の単振動などは類題を解いたことがない受験生は手こずっただろう。時間のかかる問題が少ないので、手早く解けば解き終わる。
標準~やや難の問題をしっかり解いておくこと。’06からは標準的な問題が中心となっているので、解き易くなったが、以前のように難度の高い問題が出題されることも考えられる。また、難度は高くなくても組み合わせレンズや人の目のレンズ、ヤジロベエ、U字管での水棒の単振動、ガウスの法則、重心速度、断熱変化のポアソンの式、フェルマーの原理などの出題の少ない問題や見慣れないタイプの問題もあるので、苦手な分野ややり残した分野はなくしておくことが大切である。また、日頃から問題を素早く読み、把握し、手早く解くことを心掛けておくことも重要である。ここ数年難度があまり高くないので、ケアレスミスに充分注意すること。
私立医学部の中では難関とされる大学の1つである。2017から後期試験を導入し、2019は後期センター国語併用入試、2020はAO入試導入と入試改革を続けている。
国公立医学部との併願者も多く、繰り上げ人数は公表されていないが、補欠者には順位が付いており、かなり多くの繰り上げ合格が回ると言われている。
合格者に占める3浪以上の割合が高いことから、特に多浪生や再受験生の間で人気が高い。英語300点、数学300点、理科2科目400点という英語・数学に傾斜した配点である。
●状況を理性的に考えて論述する力が求められる
●図表型
●絵・写真型
●映像型
年度 | 試験区分 | 内容 | 字数 | 時間 |
19 | 一般 (1日目) |
屍体や脳死患者から顔面移植ができるが、受けた側は一生免疫抑制剤を飲む必要がある。 術前術後の写真が提示され、生活の質と命のバランスについて考えを述べる。 |
600字 | 60分 |
一般 (2日目) |
「才能」の有無がよく言われるがあなたにとって才能とは何か。考えを述べる。 | 600字 | ||
一般後期 | ダムキーパーのアニメ映像を見て思うところを述べる。 | 600字 | 90分 | |
18 | 一般 (1日目) |
東山魁夷の「道」という絵を見て思うところを述べる。 | 600字 | 60分 |
一般 (2日目) |
理想的な教育について考えを述べる。 | 600字 | ||
一般後期 | アニメ『つみきのいえ』を見て思ったことを述べる。 | 600字 | 90分 | |
17 | 一般 (1日目) |
ノーベル医学・生理学賞の受賞に関する図表から自分の感じることを述べる。 | 600字 | 60分 |
一般 (2日目) |
図表から、人口減少にどう対処すべきかを述べる。 | 600字 | ||
一般後期 | 指揮者の映像を参考にしてあなたの将来について論じる。NHK「プロフェッショナル」指揮者の回を30分見る。 | 600字 | 90分 |
●傾向
この数年、形式が変化している。’16には初めて絵・写真型が加わり、’17から映像型も登場している。19には説明付きで顔面移植をした女性の写真が登場し、移植の効果は歴然であるが、免疫抑制剤の影響で、12年後になくなったとある。生活の質と命のバランスについて述べる。今まで高齢者の生活の質は出題されて来たが免疫抑制剤は初めてである。’17のように年度推移の図表型の場合は、まず最初と最後の増減に着目する。次にその間の大きな変化や、横ばい状態などをまとめる。その際、後で自分が述べる分析や考察に関連する読み取りも入れておくと論展開に無理がない。’17から映像が登場したが、大学説明会の模擬授業を活かしたり、30分程度の医療番組を、メモを取りながら見る練習をしておこう。’19,18はアニメーションである。メモを取ることも大事だが、映像そのものから受ける印象、観察も大事にしたい。そこで、10分から20分程度のものを探して実際にメモ、60分論述をしてみること。3日とも形式が違うので、3年分位は取り組んでおこう。
’18の絵は順天堂大で既出。長い一本道の絵である。絵・写真型の場合は、序論でこの絵を見ていない人にも分かるように簡単に説明をする。序論の最後で、テーマか自分の論の方向性を示しておく。三段落で展開する。この絵は青森県の海辺の写生がもとだが、絵では非常にシンプルになったそうである。それだけに見るひとによって様々な感想がわくので自由に論述してみよう。アニメ『つみきのいえ』は、2008年の作品で12分。温暖化による海面上昇で沈んでしまう国を象徴しているかのようだ。、おだやかな音楽が流れる中、おじいさんはワイングラスが一つと魚のワンプレートの食卓につく。思い出が流れ最後にはまた最初の場面に戻る。だが、テーブルには、二つのグラスに注がれた赤ワインが登場している。自分の観察力を駆使し、感性と冷静な文章でまとめていこう。是非一度このアニメーションを見て頂きたい。
■所要時間
グループ討論(前期)30分(後期)60分 個人10~15分
■面接の進行と質問内容
<グループ討論>
最初にテーマについての簡単な説明があり、1分程度の考える時間が与えられる。その後一人ずつ挙手して自分の考えを述べてから討論に入る。
(前期)受験生同士で自由に話し合う。
・悪い知らせを友人にどう伝えるか
・患者の自己決定権について
(後期)2つのチームに分かれてディベートを行う。
・AIは貧富の差を広げると思うか
・遺伝子組み換えは人類を救うか
<個人>
・医師志望理由
・本学志望理由
・グループ討論の感想
・自分の長所、短所
・尊敬する人
・自己PR
前期と後期でグループ討論の形式が異なる。前期は受験生同士で1つのテーマについて話し合う形式だが、後期は2チームに分かれてディベートを行い、最後は各チームの代表者が意見を述べて多数決を取る。グループ討論と個人面接の面接官は同じで、個人面接では討論の感想と言い残したことを聞かれる。
面接官の人数:グループ討論3名 個人3名
受験生の人数:グループ討論(前期)6名(後期)10名 個人1名
開学年度 | 明治9年 | |
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創設者 | 長谷川 泰 | |
理事長 | 坂本篤裕 | |
学長 | 弦間 昭彦 | |
学部所在地 | 〒113-8602 東京都文京区千駄木1-1-5 |
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交通手段 | 地下鉄南北線東大前駅より徒歩8分 地下鉄千代田線根津駅または千駄木駅より徒歩8分 都営三田線白山駅より徒歩10分 |
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URL | https://www.nms.ac.jp/college/ |
現在の教育課程を大別すると、次の4つに分けられる。
①基礎科学 自然科学・外国語・人文社会科学などのほか、医学概論など医学に関連した科目も開設されており、自由な学風のもとで、学生と教員の信頼関係に基づく少人数教育も取り入れられている。
②基礎医学 医学の基礎分野を系統的に深く学習するコースで、独自のカリキュラムである主に基礎医学教室等への研究配属が大きな柱として組み込まれている。
③臨床医学 医師を育てるために必要な臨床的知識と技術、態度を修得する。コースの後半では3~4名の小グループに分かれて、多数の病床と優秀な指導教員を有する付属4病院で臨床診断・治療の実際を学ぶ。
④卒後教育(大学院生・研究生)1960年に開設された大学院医学研究科(博士課程)では、医学に関する基礎的・先駆的な学術研究が行われており、毎年多くの博士(医学)を輩出している。
これらはより質の高い医学教育を行うため、年々改革を実施している。
明治9年 | 済生学舎を設立 |
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明治37年 | 私立日本医学校を設立 |
大正15年 | 旧制日本医科大学に昇格 |
昭和27年 | 新制日本医科大学に昇格 |
平成19年 | 医学部教育棟・基礎医学大学院棟が完成 |
平成29年 | 付属病院(本院)が完成 |
一般入試のみの募集だが、2017年度入試から前期と後期に分かれ、募集人員18名の後期では1,189名の志願者を集めた。
以前から奨学金の数が多く、入試成績上位者70名(前期60名、後期60名)に初年度授業料を免除するなど、学生の修学支援に力を入れていたが、2018年度から6年間の学費が570万円下がり、昭和大学医学部と同額の2,200万円となる。
それにより、さらに多くの受験生を集めることが予想される。