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東海大学医学部一般編入学選抜のプレゼン面接テーマ

こんにちは。
学院長の鈴村です。

昨日、東海大学医学部一般編入学選抜の2次試験が行われました。
2次試験では毎年、個人面接が2回実施されます。
1回は普通の個人面接、もう1回はプレゼン面接と呼ばれる、出題されたテーマについてプレゼンと質疑応答を行う面接です。

毎年、プレゼン面接では医療系のテーマが出題されますが、今年は従来とは方向性を変えた「対話型鑑賞」についての記事が出題されました。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03379_01
【週刊 医学界新聞 第3379号 2020年7月13日】

(プレゼン面接の予想テーマを大きく外してしまって申し訳ないです…)

1980年代にアメリカで開発された「対話型手法」という美術鑑賞法を、獨協医科大学医学部の総合診療医である森永康平氏が、なぜ医学教育に取り入れているのかについて書かれています。
抽象的なテーマですが、プレゼンでは「医師にはどういった能力が必要か、自分の意見を述べなさい」という指示がありました。

東海大学医学部は「良医を育てる」を教育テーマとしています。
自分にとっての「良医」、そして東海大学の考える「良医」をきちんと踏まえていれば、それほど的外れな意見にはならなかったのではないかと思います。

記事によると、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イタリアの医学部の多くで、対話型鑑賞を中心とするアートを扱った科目を取り入れているそうです。
もともと欧米のアートに関する考え方は日本とは異なり、アート(芸術)とサイエンス(科学)は対で語られることが多く、高等教育(大学・大学院)で学ぶものであるという意識が強くあります。

また、東海大学の創立者である松前重義氏は、若い頃にヨーロッパの大学を視察して「神学、法学、医学、理学を学べる環境」が真の総合大学であるという考えを持っていました。
「科学とヒューマニズムの融和」を掲げ、様々なバックグラウンドを持つ再受験生を募集する編入学選抜のプレゼンテーマとしては、ある意味ふさわしいと言えるかもしれません。

それとは別に、今回のプレゼン面接に出題された記事を読んだ時、医学教育に携わる先生方の「危機感」が伝わってきました。

対話型鑑賞はその名の通り、ある作品について、小グループで意見を出し合いながら鑑賞するものです。
ファシリテーターが1人いて、グループの意見を聴きながら、皆の考えが深まるように議論を誘導していきます。
1人で芸術作品を鑑賞するのと比べると、1つの作品をじっくりと鑑賞するため、観察力が養われ、自分の考えを言語化する能力も必要とされます。
また、他人の意見を取り入れながら自分の考えを深めていくことができます。

記事の中で森永氏はこう述べています。

――最近では,医学教育でもグループ学習が増えています。しかし,医学の専門性の高さゆえに依然として知識伝授型の一方的な授業が多く,観察や対話から主体的に情報を集めて問いを立案する教育の場が非常に少ない実情があります。

医師に必要とされる、物事を観察する力、他人に自分の考えを伝える力、相手の話を聞く力、仮説を立てて検証する力、他の人たちとひとつの意見を作り上げていく力、それらはすべて言語能力を必要とします。

また、森永氏はこうも述べています。

――医学教育に対話型鑑賞を取り入れた理由は,医学生や研修医と接する中で医学的知識とは異なる,主体的に「みる」「考える」「話す」「聴く」能力の不足を感じたためです。

「正解がひとつではない」医学の世界で、医師にとって(そしてすべての医療従事者にとって)言語能力は必要不可欠にも関わらず、今の医学部教員から見た学生は、おそらくその部分が非常に心もとなく見えるのでしょう。

LINEやSNSの普及により、「話し言葉」と「書き言葉」の境目が非常に曖昧になり、私たちの多くが「話すように書く」ようになりました。
短いセンテンスの話し言葉に慣れ、長い文章を読むことも書くこともしなくなった私たちは、言葉を使って論理的思考を積み上げるという経験値が極端に減りました。

その結果、内輪だけで通じる言語を使うことはできても、考え方も価値観も全く異なる他者を前にした時に、どのように自分の意思を伝えるか、そしてどのように相手を理解するかについて戸惑う人が増えたのではないかと思います。

今回、プレゼン面接でこういった耳慣れないテーマが出題されたのには、そんな背景があるのではないかと想像しました。
そしてこれは東海大学だけではなく、すべての日本の医学部にとっての課題ではないかと考えています。

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